令和6年能登半島地震を受けて作った「SPW防災サイト」について
令和6年能登半島地震を受けて作った「SPW防災サイト」について
はじめに
Webエンジニアが令和6年能登半島地震のニュースを受けて「なにかできないか」と考えたところ、防災に関するWebサイトなら自分の能力が活かせる、と思い立ち、「SPW防災サイト」と名付けたサイトを立ち上げました。
本記事では、サイトの概要および経緯を詳述します。
SPW防災サイトとは
「震災などの防災に関する正確な情報を蓄積してアクセスできるようにする」というコンセプトのもと、クローリングした一次情報(主に行政機関のWebページ)をGoogleマップ上に地域ごとにマッピングするWebサイトです。
SPW防災のネーミングについて
本プロジェクトはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』にちなんで作られた「特務機関NERV防災アプリ」にインスパイアされたこともあり、私がエヴァと同じくらい好きな『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する巨大な機関、「スピードワゴン財団」を名乗ることを思いつきました。
当初はダイレクトに「スピードワゴン財団」という団体名にしようと思いましたが、財団法人でないのに財団を名乗るのは誤解を招くこと、また、「財団」を抜くとお笑いコンビとまた誤解を招くことから、シンプルに「SPW」(スピードワゴンの略)とのみ名乗ることにしました。
サイトが出来るまでの経緯
震災当初のこと
2024年1月1日。
地震が発生したのは16時過ぎ。
大晦日はノープランに過ごし、元日は夕方まで寝ていました。
福井県に住んでいる私もさすがに震度4の地震には気づき、身の安全を確保して備えました。
幸い、被害という被害はなく、あえて言えば棚の上の小物が落ちてきたくらいで済みました。
平和な年末年始を、と願っていた昨日(大晦日)の矢先、今日(元日)こんな大災害に見舞われるとは。
— 岩淵夕希物智 (@butchi_y) January 1, 2024
どのみち、少なくとも身内は平和なのが不幸中の幸いですね。
あけたことはめでたい。 https://t.co/bmqKbw2JWf
お正月に世間が大変なことになっている一方、自分自身は特に大変な状況ではないため、お正月の3が日は、辰年にちなんで、年賀状代わりにフラクタル図形の「ドラゴン曲線」をいっぱい描いていました。
のちの「SPW防災」のロゴ画像もドラゴン曲線をシンプル化した図形です。
サイトを作り始めた
1月3日の夜、Xで被災地の方のポストを見てなんだか居ても立っても居られない気持ちになり、真っ先に手が動きました。ここがプロジェクトの始まりです。
何を作ろうかと考えたところ、「一次ソースまとめ」が自分にとって重要なことだと思い、その通り「一次ソースまとめ」を作り始めました。
みんな一次ソースみようね!!
— 岩淵夕希物智 (@butchi_y) January 1, 2024
しばらく手を動かしつつ、「徹夜はやめよう」と一旦手を止めて寝ようとしたのですが、どうもこうも眠りにつくことができず、そこから半日程度で一気にプロトタイプを完成させました。
これを最初はものづくりのコミュニティ「Image Club」のチャンネルに投稿しました。
1月5日の夕方、正式ローンチしました。
コミュニティ内には能登震災復興支援プロジェクト「ノトアリテ」の本多さんも居られたこともあり、大変お褒めの言葉をいただきました。
ただ、お褒めの言葉をいただくのはとてもありがたいながら、作っている内容自体は全くフィードバックが得られなかったのです。
「すごい」「頑張ってる」と言われるのはとても励みだけれど、どこがすごいのか、どこをもっと頑張ればいいかがわからず暗中模索の状態が続きました。
サポートメンバーの加入
1月8日のこと、私が参加しているコミュニティ「サイエンスカフェえむしーじじょう」の方でも書き込みをしていたところ、メンバーのbigbenさんと代表のShikiさんからご賛同くださり、SPW防災のDiscordコミュニティを作りました。
えむしーじじょうメンバーがジョインし、Discord上で定例会を行うようになって一気に変わりました。
リンク集から地図ベースへ
サポートメンバーからのアドバイスを受け、「厳選されたリンク集というよりも、とにかく能登半島地震に関するページを片っ端から集めるほうがいい」という路線変更と、情報を多角的に検索するよりも「地図UI一本に絞る」という割り切りで、大幅リニューアルしました。
Google Maps APIを利用したシンプル構成ができ、集中した開発ができるようになりました。
技術書典
本記事の内容に加えて、主に技術的な面にフォーカスしての内容で技術書を執筆予定です。
技術書典16での出展をもってV1の完成とする心づもりです。
これからの立ち位置
当初はダイレクトに役立つサイトを目指していたけれど、基盤研究あるいは実証実験のような立ち位置で可能性を探る方向性でいこうと考えています。
V1は出来る限りそのまま残して、この次のV2につなげていきたい所存です。