日曜数学系イベントの2015年から2024年

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MATH POWER
マスパーティ

目次

日曜数学系イベントの2015年から2024年

この記事は日曜数学 Advent Calendar 2024の4日目の記事です。

2015年が「日曜数学元年」(日曜数学イヤー)ということで、そこから十年の節目だなということでまとめます。

日曜数学会や数学デーなど、趣味で数学活動をしている人たち(日曜数学者)によるイベントを 「日曜数学系イベント」と勝手にカテゴライズしてしまいまして、それらのイベントがどのように盛り上がってきたかをひとつの記事にまとめます。

(なお、2025年には何らかの形でもっと詳細な記事化、あるいは書籍化をしたいと思っています。)

10周年を盛り上げていきたいので、皆さんも活気を持って向き合ってくれると嬉しいです!

日曜数学系イベント黎明期

私は僭越ながら、多くの数学イベントを初回から参加してきたので「時代を生きてきた人」となるかと思います。 (なお、私の観測範囲外で抜けているイベント等も少なからずあるかと思いますがあしからず。)

日曜数学系イベントの創始者というか、そもそも日曜数学というワードを定義した方がtsujimotterさんという方ですが、tsujimotterさんのブログにまさに「日曜数学系イベント元年」に行われていた数学イベントが網羅(?)されています。

ニコニコ学会

私が言う「日曜数学系イベント」の歴史として最初に挙げるべきが「第8回ニコニコ学会βシンポジウム」でしょうか。

私はまだ登場しない時期ですが、tsujimotterさんとキグロさんがこのイベントで一緒に出たことが日曜数学会に繋がります。

日曜数学会

キグロさんたちにより「日曜数学会」が始まります。私も日曜数学会の初回で研究成果を発表しました。

数学カフェ

じつは振り返るとさらに昔なのですが、別の数学のコミュニティーにて根上春さん(現在の代表理事)と出会い、 とある研究で根上さんに相談したところ「せっかくなら議論する会を開きましょう!」と発案くださったのがきっかけで「数学カフェ」というイベントが始まりました。

今ではNPO法人数学カフェとして運営されています。

第13回数学カフェ(素数)で食べたゼータ関数

食べられるゼータ関数をみんなで食べたのもいい思い出。

数学カフェにみよしじゅんいちさんをお呼びしたあたり(ログによると2014年から交流があったみたいですが)から一気に数学イベント界隈のつながりが加速した印象があります。

サイエンスアゴラ

これもみよしじゅんいちさんからのご紹介で、サイエンスアゴラ2015の「研究100連発」で私も一緒に発表する流れとなりました。これも一大イベントですね。

日曜数学系イベント全盛期

2016年~2018年が一番アツい時期でした。

「素数大富豪」(本章のMATH POWERやマスパーティの大会も)や「伝道師になろう」「スーカラ部」(数学カラオケ部)などの 「日曜数学」とは趣旨の異なるスピンオフ系のイベントも出てきます。

ロマンティック数学ナイト

日曜数学者によるムーブメントがあったからなのか、数学をもっとエンタメ的に扱うイベントが増えてきました。

ロマンティック数学ナイトは、数学の専門知識がなくても登壇者のアツい発表に「ロマンティック」な感情を抱かせるイベントです。

数学デー

日曜数学会が年に3回程度の開催だったので、数学イベント界隈の人たちが会う機会はその場その場でのイベントで、という感じでした。

そこで生まれた「数学デー」は、週1で好き好きに集まって数学の話をしたり遊んだりしましょうという会です。

毎週議題とかも用意されておらず、かなり自由な集まりです。 (それだけあって中身は参加者に依存しがち)

MATH POWER

ニコニコ学会βのつながりもあってか、ニコニコ生放送でも大々的に配信された「MATH POWER」は「日曜数学系イベント」の最高峰だと感じています。 (2016年から2018年にかけた年一イベント)

二日間ぶっ通しで数学に関するイベントを体験するなんて正気の沙汰じゃないですよね…一般人目線からしたら。

マスパーティ

MATH POWERがちょっとやりすぎたからか、さすがに3年続いたMATH POWERが2019年はやらないよとなって、 これまた二日間ぶっ通しのイベントを草の根でと開催されました。

参加者目線からしたらマスパーティもとても楽しかったのですが、主催は大変だったに違いないです。

日曜数学系イベント低迷期から数学コミュニティー時代へ

そんなこんなで2020年に突入し、いわゆる「コロナ禍」の時代に突入します。

数学イベントどころか「イベント」が開催しづらくなり、日曜数学会もオンラインで行われるようになりました(2024年現在はハイブリッド開催)。

そもそも私も入院と都心から引っ越しであまり実態が見えてませんが、新しい形を模索しながらも「広がり」はあまりない印象でした。

オンライン数学デー

オフライン開催だった前述の「数学デー」をオンラインでやろうと派生したのは「オンライン数学デー」です。 2024年現在は水曜に「オンライン数学デー」(オンライン)を、金曜に「数学デーinN/S高」(オフライン)が開催されています。

数学の議論はZoomとかだとやりづらいというのもあってか、オンライン数学デーではDiscordの音声チャットと「Miro」というホワイトボードアプリを使った交流になっています。

数学カフェもくもく会

前述の「数学カフェ」も、「もくもく会」(取り組むテーマは各自自由で、もくもくと作業や勉強などをする会)を活動のひとつとしています。 (この記事ももくもく会に参加しながら書いています。)

コロナ禍の緊急事態宣言発令下よりはオフラインで集まりやすくなった2024年、たしかに数学デーもオフラインが復活しましたが、オンラインでの交流も続けられているのが現在の姿です。

日曜数学活動の十年間を振り返って

私はとにかく研究が好きなので「研究したことを聞いてくれる」という会があるだけで嬉しいです。

あと、有難いことに 日曜数学会で出会った友人の一人はプライベートで数学の議論をする間柄になったり、 またもう一人はまた別のコミュニティーづくりで協力する仲になったりと、 人脈と言うか御縁につながっているので日曜数学様々!!

界隈を知らない人が気になるのは日曜数学系イベントや参加者の雰囲気かと思いますが、 私の主観としては 「アカデミックのようなピリピリ感がなくてかつ治安も悪くない」 といったところです。

ただ、日曜数学は基本はあくまで趣味レベルの活動なので、 数学的に間違っている情報が交わることもしばしばあることには要注意(自戒も含め)。

まとめ

日曜数学の世界に飛び込んで、本当に貴重な体験ができています。これからもよろしくお願いします。

日曜数学者の皆さん、改めて、2025年を再び日曜数学の年にしていきましょう!!

そして、日曜数学という言葉を今回初めて聞いた方も、ぜひこれからイベント・コミュニティーに参加してみてください。(以下SNSリンク)

著者紹介

岩淵夕希物智 butchi_y

言語を作る博士(工学)

ART, Research, Techの人

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