「無」を出力するAI
「無」を出力するAI
2025年4月20日(日)に、WBAモノづくり発表会というイベントが開催されました。
AIに大いに興味を持つ団体「全脳アーキテクチャ若手の会」の新規イベントで、「普段役に立たないけど,作ってみた!」という作品を披露し、モノづくりの純粋な楽しさを分かち合うイベントとして開催されました。
今回はゲストとして、「無駄づくり」で有名な藤原麻里菜さん、「AIうそにっき」で世間の注目を浴びた鉄塔さんをお招きして、LT発表会のような形式で行われました。
今回私は、「無駄」の「無」の部分と、「無駄づかい」というワードに着目して、 『「無」を出力するAI』と題した発表を行いました。
スライドはこちら。
まずは自己紹介。じつはゲストと同じくImage Club所属です。
「無駄」なAIをなにか作ろうと考えた時に、「無」を出力するというのは「何も出力しない」ということかなとも思ったのですが、それだと「何もしない」になってしまって「無駄」とも違うな、と思ってました。
普段ご飯を食べる時も玄米でなく精米されたお米を食べる人が多いでしょう。
日本酒も、高級なお酒は精米度が高いお米を使って、「大吟醸」などはその最たる例です。
ChatGPTも、普通に質問するとそこそこ長文で返ってきますが、これも「精米度」を上げた感じで「ちょっとした質問」を「ちょっとだけの文章で回答」するという
「ちょっときくGPT」というサービスをちょっと前に作ってました。
今回は、AIの回答をちょっとどころか「漢字1文字」に絞って出力するプログラムを作りました。
無駄に最新のGPTモデル(GPT 4.1)を使ってます。
たとえば、
「人間とAI、どっちが怖い」 → 「人」
「仕事の極意とは?」 → 「誠」
「人が生きる目的とは?」 → 「夢」
「キリンとパンダはどっちが人気?」 → 「熊」
などと返ってきます。
次に、「この世の真理とは?」という究極の質問をしてみます。
実際、この世の真理と言えそうな「般若心経」では、「今見えているものは全て空である」とか「感覚というものは全て無である」とかいうことが唱えられています。
「HitomoGPT」も、「この世の真理とは?」の質問に「無」(たまに「空」)と答え、人間が行き着いた境地にAIもついて来ているのだと思いました。
- 「計算資源の無駄づかい」をするAIを考案
- 質問に対し「漢字一文字」で返答するAIを実装
- この世の真理を聞いたら「無」と出力
とまとめました。
以上です。
周囲の反響
今回の発表は「無」を出力する、といった方向性にしつつもべつに「何も出力しない」でもないから、 最終的に般若心経の「無」という漢字一文字に帰着するという若干苦し紛れ的なこじつけ方だったというのが本音なのですが、 逆にそれが「一文字にするという発想の飛躍が画期的」「0→1を生み出している」といった評価をいただきました。
「計算資源の無駄づかい」の説明に「精米度」の例を挙げたのも功を奏し、なんだかんだで上手く着地しました。
べつに賞金とかは出なかったのですが、今回の発表で準優勝にあたる「WBAモノづくり賞」を受賞し光栄でした。
私は今回のイベントはかなりコミット度が高く思い入れがありましたが、全脳アーキテクチャ若手の会創始者の大澤正彦さんも「このイベント恒例行事にしましょうよ!」って言ってくれたので、次回も開催されることを期待しています。
楽しかったです!