研究2025-06-18: 最下位桁充填数
研究2025-06-18: 最下位桁充填数
今日たまたま頭に浮かんだ数列が、なかなか興味深いものだったので書き留めておきます。
まず、いわゆる「ゾロ目」となるような漸化式が念頭にあります。
b = 2 のときは 1, 3, 7, 15, 31, 63, 127, 255, ...
とメルセンヌ数となり、2進数表記で1のゾロ目になります。
b = 10 のときは、 9, 99, 999, 9999, 99999, 999999, 9999999, 99999999, ...
と9のゾロ目になります。
つまり、1を足すとb進数で となるような数ですね。
漸化式の意味的には、 が b進数での最大digitで、bをかけるのが左シフトなので、「b進数の最大digitで始めて、左シフトして最大digitで埋める」という行為となります。
最初の考え
ところで、最近の個人的な思想で、「N進数のNを固定するとNに縛られすぎる」という考えがあり、位取り記数法の表記を遵守しつつ特定の基数を持たないものを作れないかと考えたりしています。
そこで思いついたのが、「漸化式で遷移するごとに1進数(?)ずつ増えていく」という考えです。
定義は
としました。
具体的な手続きとしては
のように、基数を変えながらビットシフトと最下位桁を埋める操作で思った通りの数列が得られました。
これは以下のように続きます。
1, 3, 11, 47, 239, 1439, 10079, 80639, 725759, 7257599, 79833599, 958003199, 12454041599, 174356582399, 2615348735999, ...
何も調べずに研究を進めていた段階では、「10進数として見ると末尾が9のゾロ目が長く続く」という性質に気がつきました。
そこでさらに自力で気づけばよかったのですが、つまりはメルセンヌ的な考えで、1を足したら末尾が0のゾロ目が長く続く、「nの階乗」 (n!) と同じ性質を持っているということですね(2と5の素因数を共に多く持つと10で割れる回数が増える)。
答え合わせ
実際、OEIS (オンライン整数列大辞典) で答え合わせをしたら、 A020543 に見つかりました。
そして、
とかなりシンプルな一般項が示されていました。やはり、n! の性質を持ち合わせているのですね。
また、OEISで示された定義式は漸化式が1項ずれていて
と表されていました( は不要かも?)。私が示した定義式と見比べると、シンプルさは甲乙つけ難いですね。
研究再び
一旦また独自研究モードに入ります。
性質を調べるために、まずは素因数分解をしてみました。
流石に素数生成器とはなるはずがなかったのですが、見た感じ少なくとも無平方数ではありそうな気配です。
階差数列
次に、階差数列について考察します。
2, 8, 36, 192, 1200, 8640, 70560, 645120, 6531840, 72576000, 878169600, 11496038400, 161902540800, 2440992153600, ...
これも答え合わせをしてしまっていて、一般項は
となります。
これも素因数分解してみました。
素因数(素数)の指数を表で表すと以下の通りです。
2 | 3 | 5 | 7 | 11 | 13 | 17 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5 | 4 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
6 | 6 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
7 | 5 | 2 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 |
8 | 11 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
9 | 8 | 6 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
10 | 10 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 |
11 | 9 | 4 | 2 | 1 | 2 | 0 | 0 |
12 | 13 | 6 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 |
13 | 11 | 5 | 2 | 1 | 1 | 2 | 0 |
14 | 13 | 5 | 2 | 3 | 1 | 1 | 0 |
15 | 12 | 7 | 4 | 2 | 1 | 1 | 0 |
2に対する指数 1, 3, 2, 6, 4, 6, 5, 11, ...
と似た並びが他の指数でも一部ダブりながら並んでいるように見受けられます。
ただ、規則性があるようで崩れているようにも見て取れます。
そもそも、この数列は一般項より、単に 2 と n と n! の積でしかないので、改めて考えると大してミラクルな性質があるようにも思えなくなってきました(合成数が分解されて素数の各指数として分配されているという考え)。
階差数列の階差数列
さらに差分を取ると、
6, 28, 156, 1008, 7440, 61920, 574560, 5886720, 66044160, 805593600, 10617868800, 150406502400, 2279089612800, 36789238886400, ...
となり、これは一般項としては以下のようになります。
(ベストな書き方かは不明)
隣り合う項の比
隣り合う項の比を取ると、以下のようになります。
これを小数表示すると以下のようになります。
これを極限のような形で表すと
と、 が効いて、十分大きな n + 1 に対して
が成り立ちそうです。
まとめ
以下の漸化式について考察しました。
この漸化式は、以下のとてもシンプルな一般項を持ちます。
この一般項の通り、階乗が大きく絡んでいる数列でした。
最初のモチベーションからすると、やはり記数法と結びつけたい思いが大きいので、また改めて考えてみたいと思います。