【佐藤卓氏記念講演】「ふくい千年文化手帳」完成披露イベント 参加レポート
【佐藤卓氏記念講演】「ふくい千年文化手帳」完成披露イベント 参加レポート
2025年3月20日、福井県民が取材した福井のモノやコトを手帳にまとめた「ふくい千年文化手帳」の完成披露イベントに参加しました。
fucco会員向けにCreamで知りました。
ふくい千年文化手帳
ふくい千年文化手帳は、「千年文化プロジェクト」の成果で、2024年秋からワークショップ形式で制作されました。
老若男女を問わず集まった福井県民が、ワークショップの延長で取材を行い、福井の風景、食文化、建物など、千年先にも残したいモノやコトを手帳にまとめたとのことです。
我が地元、福井県大野市の上庄さといもも取り上げられていました。
成果として作り上げられた手帳は、販売や一般配布がされないようなので、せっかくのクリエイティブが勿体ないとも思いましたが、「手帳を作る行為に意義がある」とのことで、ふくい千年手帳を作るという文化そのものも千年とまでも言わなくとも、長きにわたって継承されると素晴らしいと思いました。
佐藤卓氏記念講演
今回ゲストとし、佐藤卓さんの記念講演が行われました。むしろ、今回のイベントで私的にはこの講演がお目当てでした。
というのも、佐藤卓さんは、金沢21世紀美術館のロゴや、「デザインあ」などの先進的なデザインを残された方で、私が大学生の頃に参加した「eAT KANAZAWA」でお話を聞いたことがあり、そのときからのファンだったからです。
講演では、佐藤卓さんが手掛けられたジャクエツの事例、石田屋の事例などが紹介されました。
ジャクエツの事例では、英語圏に伝わるロゴをと英語表記の際、「JAKUETSU」よりも短く「JAKUETS」で通じるからと名称をシンプルに。
日本酒「黒龍」で知られる石田屋での事例では、従来のロゴを継承しつつ、形状に微妙な曲線を適用し、新しいロゴをデザインしたとのこと。
「デザインは適切につなぐこと」という言葉が大事でした。
デザインの継承はしつつも、私の表現では「深く潜る」という行為をされていると感じました。
交流会
交流会には千年文化プロジェクト関係者と佐藤卓さんも参加され、ふくい千年文化手帳の裏話を多く聞くことができました。
佐藤卓さんとは名刺交換がてら少しお話させてもらったのですが、私が「eAT KANAZAWA」でお会いしたことを憶えていたのか、「はじめましてじゃないですよね?」と言っていただき、とても嬉しかったです。
一点、講演のときに気になったことについて質問をしました。
岩淵: 私のような研究者はついつい深く潜りすぎて、成果を伝えようとしても行き過ぎてしまって伝わらないのですが、デザインではそういうことはないですか?
佐藤卓さん: 深く潜るようなことはするけれど、常に伝えることとセットでそれを忘れずに進める。行き過ぎるぐらい潜るのはむしろデザイナーにはできないことで、デザイナー、研究者それぞれ「餅は餅屋」のような立場にある
とのことで、私も「デザイナー」という形での立ち回りをするときには「適切につなげる」「常に伝えることをセットで」を意識していきたいと思いました。
なお、私以外にも佐藤卓さんのファンが大勢いらして、「デザイナー人生の原点である デザインあ の生みの親とお話できるなんて!」「佐藤卓さんとお会いできるのはデザイナー冥利に尽きる」といったような歓声が多く上がっていました。
まとめ
ふくい千年文化手帳の完成披露イベントに参加し、佐藤卓さんの記念講演を聞くことができました。
手帳の完成披露イベントは、参加者の熱量が感じられ、手帳を作る行為そのものに意義があると感じました。
佐藤卓さんの講演では、今まであまり知らなかったデザイナーの立ち回り方を学ぶことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。